第23回地域経営学会研究会の開催(2017.6.3神奈川県横浜市)

日 時:2017年6月3日(土)

場 所:神奈川県横浜市

●6月3日(土)13:00~17:00  会場: KGU関内メディアセンター(地図)

1.研究会
開会の挨拶:
本研究会準備委員長/西野 芳夫(関東学院大学名誉教授、地域経営学会東京支部長)

テーマ:地域創生時代の自治体経営

1)報告
モデレーター:
◇遠藤 哲哉(青森公立大学大学院教授、地域経営学会長)

報告者:
①「地域経営学の学術的理論構築にあたって」
◇藤永 弘(地域経営未来総合研究所所長、札幌学院大学名誉教授)

②「茅ヶ崎市の地方創生総合戦略」
◇郷原 廣行(茅ヶ崎市役所)

③「ちよだプラットフォームの地域経営実践(仮題)」
◇田辺 恵一郎(プラットフォームサービス株式会社)

④「ちよだプラットフォームの地域経営実践~自治体の観点から(仮題)」
◇森脇 理好(島根県隠岐國海士町東京サテライトオフィス参与)

⑤「指定管理者制度と地域経営(仮題)」
◇昆 忠彦(青森公立大学大学院・院生)

※報告後、全体討議を行います。

閉会

2.交流会(18:00~20:00) 交流会を予定

(本研究会の趣旨)

今日、我々市民の地域生活を守り育み、新しい価値創造に尽くす自治体経営のガバナンスが求められています。特に、市民ビジネス、ソーシャル・ビジネス、起業、創業など、地域社会を生きる上で、ビジネス創造との関係が避けて通れません。

自治体経営は、市民のニーズを把握し、地域ビジネスを興し、地域社会におけるイノベーションを促進していく必要があります。ただし、その役割は、状況に応じて異なってくるでしょう。自治体が直営で行う場合、あるいは民営化し、自治体は地域ビジネスの条件整備に注力していった方が良い場合など、優れた経営理念を強く持ちつつも、状況によって戦略的対応が求められるでしょう。

近年、指定管理者制度、PFI,コンセッション方式などの取り組みが始まっています。地域全体の経営活性において、自治体経営はいかなる位置づけが相応しいのか、また、どのような経営戦略が相応しいのか、検討を深めていきます。魅力的な地域経営システムの構築、アウトソーシングの方法、「地域創生」時代の地域経営戦略において、具体的ケースに基づき、自治体経営の位置づけと役割の検討をあらためて行っていきます。

(地域経営学会第23回関東大会を終えて)
                                会長 遠藤哲哉

昨日、6月3日横浜のKGU(関東学院大学)関内メディアセンターで実施した第23回地域経営学会研究会in関東、無事成功裏に終了できました。研究会準備委員長の西野芳夫先生には、大会実行委員長として準備にあたっていただき、感謝申し上げます。

また、藤永 弘(地域経営未来総合研究所・札幌学院大学名誉教授)、郷原廣行(茅ヶ崎市役所)、田辺恵一郎(プラットフォームサービス株式会社会長)、森脇理好(島根県隠岐國海士町東京サテライトオフィス参与)、昆 忠彦(青森公立大学大学院・後期博士課程)、森田裕一郎(法務省矯正局成人矯正課企画官)の各位には、貴重な報告をしていただき、ありがとうございました。

報告及び討論を通じて、第4次産業革命ともいわれる社会変革期において、AIやICT情報ネットワークの高度化の中で、自治体経営自体のシステム変化が求められていること、また、特に地域経営という観点から、自治体経営のシステム改革が待ったのない状況であり、今後一層の実践的考察を深めるべきことが確認されました。

藤永報告では、地域経営の概念を公共政策の歴史の中で考察し、市民団体、企業、自治体ガバナンス(地域政治行政)の三者の協働において、地域経営におけるマネジメント主体の創造が重要な検討課題であるという趣旨の報告がなされました。

郷原報告では、茅ヶ崎市の地方創生戦略の策定プロセスについて、詳細な説明がありました。また、自治体の政策形成における中央省庁との交渉過程及び、住民ニーズとのミスマッチについても言及され、今後の地方創生政策におけるいくつかの課題と展望が明らかになりました。

田辺報告は、自治体経営におけるアウトソーシングと協働の都市型モデルとして、指定管理やPFIでもない、「ちよだPF方式」のユニークな実践についてでした。ちよだプラットフォーム(株)のビジネスモデルは、都市における地域経営のモデルとして、非常に注目を集めており、人材育成の観点から、志木市において人材塾も行っているそうです。

森脇報告では、海士町、山内町長と職員・町民で作る「島まるごとブランディング」、東京オフィス(ちよだプラットフォーム)、東京での多数の店舗創出・展開について説明があり、東京オフィスにおけるマーケティングの重要性が強調されました。離島のエキサイティングな取り組みは、自治体経営に大変示唆的です。

昆報告では、指定管理者制度を地域経営・自治体経営の観点から考察を深めまとめています。指定管理について、管理会計や自治体経営の視点から分析した研究はほとんどなく、この分野では意欲的な論考発表です。

最後の森田報告は、刑務所のPFI(プライベートファイナンスイニシアティブ)について、国際比較も交えた実践的内容でした。特に、企業と地域共生、地域経営との連携についての考察は、大変興味深く、参考になるものです。事例として、盲導犬の刑務内外での育成や大人の刑務所産業ツアー、刑務所レストラン、さらに伝統文化技術の刑務を通じた保存など、興味深い実践の紹介がありました。

最後の討論では、地域経営を担う優れた人材の育成、プロデューサーの存在、マネジメントの主体について、意見交換が行われました。「官は、民を通じて解放すべし」「経営者として、他に迷惑をかけてはいけないという覚悟」「リスクをとる人材と場の提供」、こうしたことの実践を通じた気づきとチャンス(場)の重要性への指摘がありました。自治体経営は、こうした地域経営の視点を共有しつつ、大胆なシステム変革の時代を迎えているといえるでしょう。

以上、概括ですが、有意義な報告・討論の機会を作っていただいた、参加された皆さん全員に、深く感謝申し上げます。

 ●第23回研究会の様子は、こちらをご覧ください。

【資料1】開催案内

【Document1】Event information(English)